冬月グループ担当者に聞く!ホストの採用面接のあれこれ
そんな人たちのために、ホストクラブ大手である「冬月グループ」が、ホスト業界への入門方法をレクチャー!
第1回は、ホストクラブで必ず行われる「面接」について。「面接」で何を聞けば良いか?
どういうことが聞かれるのかを、冬月グループの人事を統括している橘優輝さんに伺いました。
今回インタビューに答えてくれた方
面接の形はスタンダード
インタビュアー
本日はよろしくお願いいたします! 早速ですが、ホストクラブに入店するためにまず行われる面接。これはどこの企業でもそうですが、指定された時間に伺う流れですか?
橘
そうですね。履歴書を見ながら面接を行います。まずはホストをやりたい理由、なぜ冬月グループのお店を選んだかを聞きます。
インタビュアー
他の業種との違いはありますか?
橘
普通の企業だと、面接を受けに来た人が「その会社に入りたい」という意欲があって、企業が選ぶ立場なんです。一方で、ホストクラブの場合は数多くの選択肢があるので、どちらかと言えば僕らが選ばれる側なんですよ。なので、単純にその子を見定める面接というよりかは、冬月グループがどういうグループなのかの説明を重点的に行います。そこがかなり違いますね。面接に来る方も、「スタープレーヤーになりたい」とか、「こういうお店で働きたい」という意見をハッキリ言う方が多いです。
インタビュアー
(橘さんの手元を見て)ちなみに面接のときはiPadを使うんですね。
橘
そうなんです。デジタル化です(笑)
ホストクラブ業界もデジタル化が進んでいます
明確な給与体系
インタビュアー
ホストの給与体系についてお聞きしたいです。
橘
ホストクラブの報酬システムはグループやお店によって違います。弊社では、一定の金額までは「日給+歩合+賞金」です。そして、一定の売上以上になると「完全歩合+賞金」です。そして、歩合の率も大きく上がります。
インタビュアー
なるほど。「給料」というくくりの中でも、グループやお店によって定義が違うんですね。
橘
弊社では、給与の最低保証があって日給制で支払います。
インタビュアー
冬月グループの最低保証額は幾らになりますか?
橘
普通のお店だと5000円程度ですが、弊社では7500円と、業界では最低保障額を高く設定しています。
インタビュアー
ホストクラブ業界の初心者にとっては嬉しい設定ですね!
① 最低保証の「日給」
② ある一定額の売上までは「日給」+「小計(売上バック)」+「賞金」
③ さらに売上が増えると「総売の完全歩合(売上バック)」+「賞金」
※ 小計:テーブルチャージやオーダー料金の合計の金額(お店によって定義が違う)
※ 総売:お客様がお支払いした金額
橘
ちなみに、僕らは“小計マジック”と言っているのですが、小計の計算の仕方はグループによって違います。例えば、小計として提示される金額の中に、テーブルチャージなど諸々の金額が引かれていたりしているケースがよくあるんです。ホストからすれば、先にテーブルチャージが差っ引かれた売上表を出されてしまえば、それが自分の売上だと思うんですよ。なので、この小計の計算に関しては、他社へ面接に行くときも詳しく聞いた方が無難ですね。
インタビュアー
なるほど。歩合部分が大きいホストにとってはそのあたりの確認は重要ですね。
橘
はい。あと注意すべきなのが「10%マジック」と呼んでいるものがあります。ホストは基本的には個人事業主になるので、源泉徴収として10.21%を毎月の報酬から国に収めなくてはいけません。弊社では10.21%、報酬から先に引いています。
インタビュアー
先に源泉分を徴収すると。
橘
はい。悪質なケースだと、所得税の名目で10.21%を給与から差し引いているのに、それを設備費とか共益費とかお店の儲けとして計上し、結局、税金の支払いはホストに任せるところもあるんです。その場合、額面上では同じ手取り収入が50万円だとしても、その50万円からさらに税金を支払うことになります。こういう「小計マジック」や「10%マジック」という、余分にお金が引かれてしまう報酬システムは、この業界ではよく聞きます。その点、私たちは無駄な搾取がなく、安心してホストが働けるグループです。
面接者の不安を取り除く教育制度
インタビュアー
給与面の部分は理解しました。他にはどういったところを面接でお聞きするのでしょうか?
橘
面接者がよく抱いている不安としては、「自分がやっていけるのかな?」というものがあります。ホストをやってみたいと思っていても、月の売上で1000万プレーヤーが複数いるような大手グループ内で競争を勝ち抜けるかは確かに気になりますよね。そうした不安に対しては「きちんとした教育を施しますよ」と説明します。
インタビュアー
具体的にどのような教育を行うのでしょうか?
橘
弊社はグループ展開をしていて、現在約20店舗あります。普通のホストクラブだと、入店したお店の上司から基本的なことを教わるのですが、弊社の場合は「F’sアカデミー」というシステムを作っていて、キャストなら誰でも系列他店のスタープレイヤーが開催するセミナーに参加して教育を受けられるシステムがあります。
インタビュアー
それは強みになりますね。
橘
「F’sアカデミー」は大きく分けると、冬月グループで働くためのマインドを学ぶセミナーと、ホストのスキルを学ぶセミナーの2パターンがあります。前者にあたる「ニュージェネセミナー」と呼び、冬月グループで働くときに持っておくマインドを学びます。そしてホストの営業や接客を学ぶ「スキルセミナー」も毎月開催しています。
インタビュアー
ホストとして成功体験を吸収出来るシステムが確立されているのですね。
グループ全体の事業展開の説明
インタビュアー
ホストクラブ業以外にも、グループ全体で多角的に事業を展開されているようですが?
橘
はい。冬月グループは、ホストクラブ事業だけでなく、不動産や飲食などといった分野でも事業を展開をしています。
インタビュアー
そうなんですね!
橘
元々、弊社の創業者の冬月翔がいちホストとして働いていた店舗では、給与の未払いが発生したり先輩からの暴力が常態化していたりと売れれば何でも良いと考える人が多かったんです。そこに違和感を抱いた冬月翔が「今のホストクラブ業界ではダメだ。僕らが誇れる業界に変えていかなけばいけない」と自ら立ち上げたのが冬月グループです。
インタビュアー
素晴らしいですね。ホスト引退後のフォローも考えているのでしょうか。
橘
はい。冬月グループで働くキャスト達が、ホストクラブ業界で得るものが単にお金がだけでなく、将来、ホストを引退した後も何か一緒に仕事が出来るようにとグループとしてバックアップします。
インタビュアー
なるほど。そこまで考えてくれてるからこそ、今は目に前のホストの仕事に集中できるわけですね。
橘
そうですね。あと、弊社の特徴として、サイドビジネスもOKなんです。なので、飲食、シーシャ(水タバコ屋)、Barなどをやっているホストもいます。そういう活動もOKにすることで、人生を豊かにしていってほしいという考え方です。
インタビュアー
面接は「冬月グループ」という企業理念をしっかりと説明する場でもあるんですね。
橘
そこは大事にしています。「業界を変える」という理念を掲げている弊社の大きな特徴の一つとして、反社勢力との繋がりがないということがあげられます。なので、広告代理店、メーカーやゲーム会社さんとも仕事をしています。つまり、企業コンプライアンスをすべてクリアしているのでお付き合いができるわけです。企業とコラボした事例として『龍が如く』というゲームで、歌舞伎町のホスト看板への登場するホストは、すべてウチのキャストです。
インタビュアー
そうなんですね!
移籍のために動く部署が存在
インタビュアー
ホスト業界でも「移籍」があるじゃないですか? そのときはどういう取り決めがあるのでしょうか?
橘
業界的に引き抜きは禁止されています。ただ、ホストから「こういう事情で今のお店を辞めたい」という相談は良くあります。その理由をきちんと聞いて、それが納得できるもので、なおかつ様々な事情から自分で辞めることができないときは、直接店舗と交渉をする「ソリューション部」が動きます。
インタビュアー
実際に移籍のために動いてくれる部署があるんですね。
橘
そうです。「移籍」を円滑にすることはこちらにもメリットがありますからね。
冬月グループが求める人材と、合格の基準
インタビュアー
面接という形ですが、お聞きすると冬月グループのプレゼンに近いですね。ちなみに面接の合否はその場で伝えるのでしょうか?
橘
そうですね。ちなみに合否に関しては、こういった細かい説明をする前に伝えてしまいます。
インタビュアー
そうなんですね!
橘
履歴書の確認をしているときに、ホストへの気持ちが弱い子、またコミュニケーションが取れない子や、あまりないケースですが態度が極端に悪い子なんかは最初の段階でNGを出します。僕らは「選ばれる側」といえども、「一緒に働きたい」と思えるかかが採用基準になるので。
インタビュアー
合否の基準に見た目とかは関係ありますか?
橘
見た目に関してはあまり合否に関係がないです。僕らのキャッチフレーズが、「カッコイイは作れる」なので。見た目なんて、ファッションや体型、髪型、化粧でかなり変わりますから。
インタビュアー
ちなみに毎月どれくらい志望者が来るのでしょうか?
橘
毎月約200名くらいですね。そこから実際に入店してくれるのが大体30%くらいですかね。
インタビュアー
面接も大切な接客のひとつと言えますね。
橘
そう言えるかもしれません。弊社としては、きっちりと説明し、納得いただいた状態で入店させることを心掛けていますので、その点は安心して面接に来てほしいです。
インタビュアー
なるほど。ありがとうございました!
まとめ
冬月グループでは、きちんと一人の人間として一人前のホストを育てようという意識があるのがうかがえたのではないでしょうか?
特に、直接の上司だけでなく、様々なお店で接客やマナーを学べるのはとても良い制度ですね。
セカンドキャリアも見据えた考え方も、ホストの「後」を考えている人にとっては心強いはず。
次回も、ホストのなり方や働き方について迫っていきます!
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